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ついったメモ小説格納。

人狼ゲームでは、「恋人」は片方が死んでしまったらもう片方も後を必ず追ってしまう役職です。
ロマンですよね!

しかし平和な村に突如首吊り台が設置され、毎日村人たちの投票でひとりが殺されていく……
考えると怖い。かなり怖いです。残酷絵図すぎます。
村人に化けた人喰い狼を退治できた日はいいけど、はずれだったら何の罪もない村人さんですもんね……。

あおいはぴく悪といいピク人狼といい、絶望に荒れた世界の中のひとときのほのぼのが大好きみたいです。
普通のほのぼの世界じゃ物足りないとかどんな業。

* * *


「……アルバさん!」

ぽろぽろ涙を溢れさせながら胸に飛び込んできた陽子を抱きとめて、
アルバートは苦い溜め息を吐いた。

「……陽子ちゃん、」
「わたしを置いていかないでください……アルバさんのばかぁ……」

温かい涙が、胸の辺りにじんわり染み込む。

「ひとりにしないで……お願いです……」
「あのな、陽子ちゃん」

陽子の長い髪をそっと撫でた。

「……陽子ちゃん。駄目だろぅ、こんなオッサンの後なんか追いかけてきちゃ」

ぐすりと鼻を鳴らして、泣きはらした目で陽子はアルバートを見上げた。
ぷくぅ、と頬を膨らませる。

「あ…アルバさんの後なんか追ってません! 偶然です、偶然!」
「偶然ねぇ……」
「ちょっと散歩に出たくなって! 公園を歩いていたら偶然、首をぶらさがっていた縄に引っ掛けてしまったんです!
 事故です、事故!」
「……陽子ちゃーん……」

狼がうろついている夜に散歩に出て、死体が転がされている公園へ向かって、
陽子の身長では台を使わなければ届かない、首吊り台の小さな縄の輪に偶然首が引っかかる?

ずいぶんひどい偶然だなぁ陽子ちゃん、とアルバートは苦笑いした。
ぷうっと頬をふくらませている陽子を抱き寄せて、ぽんぽん、と頭をたたいた。

「わかったよ。もうひとりにはしねぇから、安心しな」

暖かい腕に抱かれた陽子は、ちょっぴり拗ねた口調でつぶやいた。

「……約束ですよ?」
「あぁ、約束するさ」

 

 

地上ではまだ、血で血を洗う疑心暗鬼が渦巻くゲームが続いている。
だが天上は、恋人たちの楽園だ。

 

 


 

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